激痛。子宮外妊娠と診断され、緊急搬送。自分が自分じゃないような。




◎2007/2/13(火)

朝のトイレで、また出血を認める。先週金曜日に会社を休んだので、すでに4連休。さすがに、今日は行かないと感じが悪いし、仕事もたまってる。慣れてしまったお腹の痛みをそこそこ感じつつ、洗顔し、着替えて化粧をする。アクセサリーを選んでいる時に、下腹部に激痛。立てなくなる。ああ、もう、、、何なの、、、冷汗が出た。やっぱり、今日も無理だ。

まだ彼が寝ていたベッドに、再度潜り込む。「ちょっとダメ、やっぱりお腹痛い、、、」小さく丸まった私を心配して、彼はあたたかい手のひらでそっとさすって、私の痛みを癒してくれる。

彼が出かける時には、痛みは引いて、少し楽になっていた。「おれ出かけるけど、ほんとに大丈夫?」「大丈夫。静かに寝てれば平気みたい。」会社に休みの連絡を入れ、その後すとん、と眠りに落ちた。

 

出かける格好のセーターを着て、タイツを穿いたまま寝てしまっていた。喉の渇きを覚え、いやな汗をかいて目覚めた。ちょうどお昼だ。彼からメールがきている。

『大丈夫?なんか食べた?』
『ずっと寝てた。喉が猛烈に渇いたから、ちょっと起きる』
『冷蔵庫にグレープフルーツあるよ』

そんなやり取りをした。この時点ではまだ、そこまで深刻さがなかった。起き上がってみて、改めて具合の悪さに打ちのめされた。うがいをする。何もいらない。消耗しきっている。また横になり、時間をやり過ごす。

14:00。
何これ、、、下腹部に、今までにない激烈な痛み!!!丸まりながら、耐え難い痛みに耐える。「~~~!痛いぃい!!」と思わず搾り出すような声が出る。どうしようもできない。
苦痛。
不安。
でも動けない。
耐えるしかない。

16:00。
少し痛みが引いた隙に、必死の思いで、産婦人科の先生に電話をする。電話をとった(たぶん受付の)女性に「痛くて痛くて、どうしようもないんです!」と、とにかく訴えた。その人は戸惑いながらも、私の名前を聞き出し、先生にかわってくれる。もう私は恐怖でいっぱいで、この時泣き出していた。「痛いんです、、、先生、、、」

そう言われても、先生だってどうしようもない。「とにかく、診てみないことには何とも言えないし、今ひとりなの?立てるの?救急車呼んでもいいし、とにかくこっち来れるかね?」

「診察、、、5時までしかやってないんですよね、、、?」

「5時って、そんな悠長なこと言ってる場合じゃないんじゃないかね」電話の向こうで、先生が心配そうな表情をしているのが感じられた。少し勇気付けられた。「あなたどこに住んでるの。○○ヶ丘か、すぐ近所だね。とにかく、救急車でもタクシーでも呼んで、すぐ来なさい!」

「、、、はい、、、」

少し痛みは引いていたから、私はのろのろとコートを肩にかけ半泣きで、朦朧とした頭で、足を引きずりながらとにかく家を出た。ありがたいことに、すぐ前の交差点でタクシーをひろえた。タクシーに乗り行き先を告げた時点で、とりあえずは助かった気がした。

病院に着いて、妊婦さんたちであふれている待合室の片隅で、うずくまる。妊婦さんたちと私は、光と影のようだ。順番を飛ばして、すぐに名前が呼ばれた。「大丈夫?大変だったの?」看護師さん(助産師さんかな)が腕を支えてくれる。涙があふれる。「おしっこ取れる?大丈夫?ひとりで平気?」看護師さんは天使だと思った。

内診して、先生が唸った。
「ううん、こりゃ完全に子宮外妊娠だ、、、」

机の前に座り直した先生は、焦って困り果てた様子だ。この先生の、こういう先生らしからぬところが私はぐったりしながらも、好ましいと漠然と感じていた。「うちではこのケースはもうどうしようもできないから、大きい病院にすぐ連絡を取るからね。受け入れてくれるところすぐ探すから、ちょっと待ってなさいよ」

すきま風に吹かれただけで倒れそうなほどに疲弊した私に、看護師さんたちは優しい。

「立てる?」「救急車呼ぶからね。こっちで横になって」「家族に連絡した?今のうちに電話したらいいから」

医院のピンクの病衣に着替えて、横になって点滴を受ける。血管が全然浮き出てこなかったみたいで針が刺せず、先生はまたひとしきり焦って「こりゃ、どういうことだ~。ないな~。血管がないな~」と散々独り言を言う。

天井と壁いっぱいに描かれた青空と雲をぼんやり眺めつつ、遠くなったり近くなったりして耳に届く周囲のざわめき、自分を取り巻く状況を不思議な気持ちで受け止めていた。救急車が到着して、ストレッチャーに乗せられた私が待合室を通り抜けて行く時、妊婦さんたちが不穏な表情でこちらを見ていた。なんだか悲しかった。きっと私は、ひどい顔をしていたのだろうと思う。産婦人科医院から総合病院まで、助産師さんが付き添ってくれた。私の手に、柔らかい手を添えてくれている。なんてあたたかいんだろう。

「大丈夫だからね」助産師さんがささやく。

他人って、こんなに優しいものなのかと、横になりながら、また涙がこぼれた。




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