子宮外妊娠の手術から退院するも、傷口に炎症。悲しみの先に。




◎2007/2/21(水)

先週土曜日に退院してきて、日、月、火、と少しずつ日常に慣れていった。とは言っても、家から一歩も出ていないけれど。もともとお家にいるのが大好きだから、全く退屈知らず。こちょこちょお料理したり、掃除をしたり、こうしてブログを書き始めてみたり、絵を描いたり。

退院指導は「家のことを少しずつ始めて。近所の散歩から、徐々に行動範囲を拡げる。1週間後の検診まで、激しい運動はダメ。湯船にはつからず、シャワーのみ」ふむふむ。了解。

事務的な仕事なら復帰OKとのことだったけれど、満員電車の通勤を考えると、ちょっと厳しいと思い、とりあえず木曜日から復帰ということにしている。彼や親は、今月いっぱい休みなさい!と言うけれど、急に仕事を放り出してきたから、気にはなっていて。順調にことが運べば、明日から本格的に社会復帰、のはずが。昨夜から傷口が炎症を起こし、じくじくしてきて、びびりまくり。今日、タクシーで病院へ行って来た。

そもそも、私のした手術は。

開腹手術よりも負担の少ない、腹腔鏡下手術というもの。お腹を開かず穴を開け、内視鏡カメラを挿入し、モニターに映し出された腹腔内を見ながら行う手術。手術器具を挿入する場所ももちろん必要なわけで、穴は3か所。おへそのすぐ下と、下っ腹の左右に、小さな傷痕がある。おへそ下と、左の傷は5ミリ。右は、卵管を取り出したりした部分だから、11ミリ。その11ミリの方が、じくじく。

寝台に仰向けになって、おののいている私。

「あ~、炎症起こしちゃってるなあ。菌が入っちゃったんだね。傷口が開いてしまっているなあ」「この、皮膚にひっついているのをまず剥がさないと、、、」と、先生はおもむろに傷口を攻めた。

イテテテテ、、、っ!!!

センセエーーーイタイっ!!!

イメージ的には、固まりかけのかさぶたを無理矢理剥がす感じ。さらには、傷口の中に糸で縫ってある部分があるそうで、その糸の繊維に菌が付いてると大変だからと、傷口を掘り返して糸を抜いてしまうからって

イ、イ、イテテテテ、、、!!!!

「ごめんね、ごめんね、ちょっと我慢してよ」優しい声色ながらも、やっていることは容赦ない。パチン、パチン、とはさみで糸を切る音も聞こえるし!歯を食いしばって、必死の思いで耐えた。いや、かなり痛い痛いと叫んだ、かも(笑)今飲んでいる抗生物質が効かない菌だということだから、他の抗生物質のお薬をもらう。翌日も、消毒に行くことになってしまった。

この話を帰宅した彼にしたら、想像するだけで身をよじって「イ、イ、イダダダダ!!!」と悶えていた。

 

 

◎2007/2/22(木)

午前中、傷口に消毒をしてもらいに病院へ。当分、毎日消毒に通わないといけないらしい。仕事は休もうかどうしようか迷った末、部長が困っているのは分かっていたし、私自身気になっていたから。気を奮いたたせ、午後出社。久々のオフィス、みんなに「おかえりー」「大丈夫なの?!」と迎えられて、なんだか気恥ずかしくもあり、新鮮な気分。傷口に響くから、歩くのが超ゆっくり。何があったか詳しく知っている同僚のNちゃんは「chibicoちゃん、痛々しいよ~~~」と、すごく心配してくれた。

滞っていたデータ処理を黙々と片付ける。少し残業、19時過ぎにオフィスを出た。やっぱり電車と電車乗り換えの階段がキツイ、と感じていたので、もう無理はしないでおこう。翌日はまた、お休みをもらっておいた。

帰りの電車。朝から久々にフル稼働して、疲れも出た。揺れる車内で、立っているのが辛い。傷口を庇って立つから、何だか腰まで痛くなってきた。なるべく端に寄りたくて、優先座席の前で立っていた。隣には、私と同じ年頃の、やはり会社帰りの女性。ふいに、私たちのちょうど前に座っていた女性が立ち上がり、「どうぞ」と私の隣の女性に席を譲った。

「ありがとうございます。」素直にその席に座った女性のバッグに『お腹の中に赤ちゃんがいます』マークが揺れていた。私が利用している沿線では、そういったキーホルダーのようなものを妊婦さんに配布している。お腹がまだ目立たなくて、見た目では分からない妊婦さんを気遣うために。

心の中で、ちくり、と音が鳴った。

赤ちゃんを失って、手術の傷跡を庇いながら、疲れた顔でどうにか自分を支えて立つ私。赤ちゃんを授かって、席を譲られ、お腹を大事そうにさする彼女。悲しいのか、空しいのか、さみしいのか。もう訳の分からない感情が混沌と湧き起こり、どーんと打ちのめされた。その場にしゃがみ込みたくなったけれど、何とか持ち堪えた。

駅から家まで、普段なら軽快に歩いて6分。でも、今の私の歩みは遅く、20分近くかかった。どうして、どうして、どうして私の赤ちゃんはいなくなってしまったのだろう。どうして、どうして、どうして私がこんな思いをするのだろう、、、

答えのない問いを、ひたすら自分に投げかけ、もう頭の中はぐちゃぐちゃ。歩きながら、必死に堪えていたのに。家に着き、ダイニングテーブルの席にやっと腰を下ろした途端、堰を切ったように涙が溢れ出した。もう、何に対して、何で泣いているのか、途中から分からなくなるほど、おいおい、おいおい、声を上げて泣いた。

泣き尽くしたら、スッキリしたんだ。

 

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