病院とは無縁だった私が初めて入院、そして卵管摘除手術。




◎2007/2/13(火)

大きな病院に移送されると、担当医が待ち構えてくれていた。時刻は18:00頃だっただろうか。

状態を、改めて内診する。子宮までたどり着けず、右の卵管で留まって育ってしまっている小ちゃな赤ちゃん。胎児心拍も認められた。「今の医療では、この胎児を(切りとって)子宮に移し換えてあげることは出来ないんですね」そんな説明をぼんやりと聞いた。

子宮は赤ちゃんを育てるために、その都度、大きくなっていく神秘の力を持っている。でも、卵管は大きくはなれない。赤ちゃんがそこで育っていくと、いつか破裂し大出血を起こす。そうなると、母体も危険なのだという。

卵管を摘除する手術を行う、ということだった。説明の後はストレッチャーに乗せられ、心電図やレントゲン(だったのかな?)などをとるために、あちこち移動した。いつも元気で病院とは無縁だった私が、いきなり救急車で運ばれ手術をするというのだから、茫然とするしかなかった。自分の身体だけど、人ごとのように丸投げだった。だって、本当に自分ではもう、どうすることもできない。

 

あの時は、物事が津波のように押し寄せて、思考回路もマヒしていたんじゃないかと思う。

 

オペ室が開くまで、1時間ちょっと病室で待機することになった。その頃、彼が駆けつけた。彼の顔を見たら、なぜかとても嬉しくなった。疲れも吹き飛んだ。これから手術だなんて、全然そんな気がしなかった。今考えても不思議だけど、あの時泣いたりとか悲愴な感じは全くと言っていいほどなかった。ここでも彼と一緒に手術の説明を受け、サインをした。

看護師さんに爪を切るように言われ、彼に切ってもらった。また看護師さんがやってきて、陰毛を剃っていった。あれ?いつの間に私、紙パンツに履き替えているんだろう、、、もう、とにかく本当に、なされるがままだった。手術室に移送される直前に、義両親も慌てて駆けつけてくれた。

 

 

背中に局部麻酔を打ち、次に全身麻酔。有無を言わさずまぶたが重くなり、あっと言う間に意識が遠のいていった。

 

誰かに名前を呼ばれた気がした。
うっすらと光を見た。

 

もうそこは病室だった。朦朧とした意識の中で、喉にざらざらするような、詰まったような違和感。でも咳払いもできず、ひたすら苦しかった。点滴が打たれている左腕のひじ部分がやけにだるくて、石を乗せられたように痛い。顔に付けられた酸素マスクが邪魔だ~~~、、、身じろぎひとつできない私は思っていた。麻酔から醒める時は、なかなか苦しいものらしい。

 

彼が泣いてる、、、

 

私はまた、引きずられるように眠りに落ちた。

 

 

◎2007/2/14(水)

目覚めると、案外意識はしっかりしていた。実家の母から「今新幹線でそっちに向かってるからね!!」とメールが届く。姉からも、メール。年子の姉は、血を分けた姉妹であり、大親友であり、かけがえのない存在だ。すごく、すごく、心配してくれていた。ふたりで、泣きながらメールのやり取りをした。(病室で、携帯の電源は切らなきゃいけないんだろうけど、看護師さんたちも、患者さんが携帯メールをしていても優しく見て見ぬふりだった。影響を及ぼす医療機器が近くにないからだったと思う)

看護師さんがやってきて、尿道の管を抜く。身体を拭いてくれて、上体を起こして、足湯につかる。お昼ご飯はお粥だったけれど、ほとんど残した。

手術の翌日からいきなり歩行開始。

そ、そんなもん??

点滴やら抗生剤やら痛み止め、いろいろな管が身体から伸びている。トイレに行きたくなったので、点滴を吊るしたキャスター付きの棒に摑まりながら、歩いてみた。背筋を伸ばして立てないし、歩くというより、摺り足で少しずつ前進。弱って、よれよれの自分。

15:00。
面会時間になって、彼とお義母さん、実家の母がすぐに来てくれた。母の顔を見たら、思わず涙があふれ出した。

「赤ちゃん、かわいそうなことしてん、、、」

私を優しく抱きしめて、母も泣いた。「そうやったね。でもね、chibicoちゃんが無事やったらね、いいんよ。chibicoちゃんさえ大丈夫やったらね、お母さんはそれで十分いいんよ、、、」

お母さん、大好きなのに、心配かけてごめんね。

仕事で東京に住んでいる兄と、兄嫁のYちゃんもお見舞いに来てくれた。「こう言うのも何やけど、一回こういうことあったら、またすぐに妊娠するらしいよ。きっと大丈夫、、、」そう言って慰めてくれた。うん。希望はある。またすぐに、赤ちゃんきてくれるよね。

18:00。
夕食のおかずは、大きなシュウマイ5個!手術後の私に、これまた随分こってりな・・・3個、彼が食べました(笑)

 

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